借入は何社までなら審査に通る?他社借入件数と総量規制の関係を制度の仕組みから解説

「他社で3社借りているけれど、4社目は通るのか」。審査の現場にいた頃、電話口で何度も聞かれた質問です。

この記事では、借入件数と審査の関係を法律と信用情報の仕組みから整理します。業者ごとの審査基準は公表されていないため、推測では書きません。公表されている制度と統計だけで組み立てます。

目次

先に結論を書きます

疑問答え
何社までなら審査に通る?公式な基準はありません。法律にも、各社の公表資料にも「◯社まで」という線はありません
法律は何を見ている?件数ではなく、貸金業者からの借入の合計額。年収の3分の1を超える新規の貸付けが原則禁止されています(総量規制)
件数は審査側に伝わる?伝わります。貸金業者は契約の前に指定信用情報機関の情報を使って返済能力を調べることが義務づけられており、他社の契約内容や残高も確認できます
完済すれば件数から消える?完済だけでは「契約中」のままです。カードローンは解約までしないと契約終了になりません
件数が多いときの出口は?おまとめローン(総量規制の例外)、銀行の借り換え、債務整理の3つ。状況で選び方が変わります

以下、表の順に根拠を示します。

「何社まで」は法律にも各社の公表資料にも書かれていない

前提として、法律が定めている線と、定めていない線を分けておきます。

項目法令で決まっているか内容
借入の合計額の上限決まっている貸金業者からの借入残高の合計が年収の3分の1を超える貸付けは原則禁止
収入証明書の提出が必要になる額決まっている1社で50万円超、または他社分と合わせて100万円超
信用情報の照会・登録決まっている契約前の照会と、契約後の登録が貸金業者に義務づけられている
借入件数の上限決まっていない「◯社以上は貸してはいけない」という規定はない
各社の件数の目安公表されていない件数をどう評価するかは各社の審査判断

ネット上で「◯社以上は厳しい」と書かれていることがありますが、出どころとなる公式資料はありません。件数が審査で考慮されること自体は否定できませんが、何社で線が引かれるかは外から確認できない、というのが正確なところです。

確認できるのは「件数が信用情報にどう記録されるか」と「総量規制の計算がどうなっているか」の2つ。この2つを押さえれば、自分の状況がどの位置にあるかは判断できます。

実際に何社から借りている人が多いのか(JICC・2026年8月末)

指定信用情報機関の日本信用情報機構(JICC)は、加盟する貸金業者が登録した情報について、借入件数ごとの人数を毎月公表しています。2026年8月末の数字です。

借入件数登録人数構成比1人当たりの残高1契約当たりの残高
1件681.5万人62.4%66.9万円66.9万円
2件249.3万人22.8%101.3万円50.6万円
3件103.8万人9.5%127.7万円42.5万円
4件40.4万人3.7%152.1万円38.0万円
5件以上16.3万人1.5%235.7万円43.9万円
合計1,091.5万人―86.3万円54.1万円

出典:JICC「各種統計情報推移(2026年4月~)」貸金業法対象情報・残高がある者の借入件数毎の登録状況。構成比は合計人数から筆者が計算。

この数字の意味を分解します

  • 6割強は1件だけ。残高のある人のうち62.4%が1社のみの利用です
  • 3件以上は14.7%。3件・4件・5件以上を足すと160.5万人で、全体の7人に1人程度です
  • 件数が増えると1人当たりの残高は増え、1契約当たりの残高は減る。1件の人は1契約66.9万円ですが、4件の人は1契約38.0万円です。少額の契約を積み重ねて合計が膨らんでいく構造が数字に出ています

3つ目は、「1社の枠が足りないから2社目、3社目へ」という借り方の結果とみることもできます。1社ごとの金額は小さくても、合計で見ると5件以上の人は1人平均235.7万円です。

ここは押さえておいてください。この統計は「何件の人が審査に通ったか」を示すものではありません。JICCに加盟する貸金業者の分だけで、銀行カードローンやCICにのみ登録された契約は入っていません。あくまで「借入件数の分布」の目安です。

借入件数は信用情報にどう記録されるのか

貸金業者が審査で他社の件数を知る経路は、指定信用情報機関です。現在はJICCとCIC(シー・アイ・シー)の2社が内閣総理大臣の指定を受けています。

貸金業者には、個人と契約する前に指定信用情報機関の情報を使って返済能力を調べる義務と、契約したら遅滞なく信用情報を提供する義務があります。つまり、貸金業者で借りた件数は、原則として次の審査をする会社に見える仕組みになっています。

記録される情報と保有期間

情報の種類主な中身CICの保有期間JICCの登録期間
申込みの情報照会日、商品名、契約予定額、照会した会社名など照会日より6ヶ月間照会日から6か月以内
契約内容契約日、契約の種類、契約額(極度額)など契約期間中および契約終了後5年以内契約継続中および契約終了後5年以内(2019年10月1日以降の契約)
返済・支払状況残高、入金履歴、延滞の有無など同上同上。延滞解消の事実は発生日から1年を超えない期間

出典:CIC「CICが保有する信用情報」、JICC「信用情報の登録内容と登録期間」。JICCの2019年9月30日以前の契約は「完済日から5年を超えない期間」などの扱いです。

「件数」は3つの数え方で見えている

信用情報の仕組みから見ると、審査側に見える「件数」は1種類ではありません。

見え方どの情報から分かるかいつ消えるか
いま残高がある契約の数契約内容+残高完済しても契約中は「残高0の契約」として残る
残高0も含めた契約中の数契約内容(極度額)解約などで契約が終了してから5年以内
直近の申込みの数申込みの情報(照会記録)照会日から6か月

このうち、各社がどれを重く見ているかは公表されていません。ただ、制度上はこの3つがすべて照会できる状態にある、ということです。

完済と解約は別物

件数の話でいちばん誤解が多いのがここです。CICの開示報告書の説明では、契約の「終了状況」が「完了」になる条件を次のように定めています。

契約の形「完了」になる条件
一般的なローン支払うべき金額が全額支払われ、契約が終了したもの
カード(カードローン等)残高がなく、解約したもの

カードローンは、残高を0にしても解約しなければ契約は続いています。極度額(利用枠)も契約内容として記録されたままです。「3社とも返し終わったから件数は0」と考えていても、信用情報の上では3社と契約中、という状態がありえます。

解約すると「完了」として記録され、報告日から5年間は終了した契約として残ります。消えるのはその後です。

審査に落ちた経験がある場合、件数以外の要因(延滞の記録や申込みの重なり)も同じ信用情報で確認できます。開示の方法と、落ちる理由の全体像は別記事で整理しています。

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総量規制は「件数」ではなく「合計額」で線を引いている

件数そのものに法律上の上限はありません。法律が線を引いているのは合計額です。

計算式
すべての貸金業者からの借入残高の合計 ≦ 年収 × 1/3

1社ごとではなく、複数の貸金業者からの借入を合計して判定します(金融庁「貸金業法Q&A」、日本貸金業協会)。

同じ年収でも、件数より合計額で余地が決まる

年収300万円の場合、上限は100万円です。件数の違う2つのケースを並べます。

ケースA(3社)ケースB(1社)
借入の内訳30万円・30万円・20万円90万円
貸金業者からの残高合計80万円90万円
総量規制の残り20万円10万円

総量規制の計算上は、件数の多いケースAのほうが残りの枠は大きくなります。もっとも、件数を各社がどう評価するかは別の問題で、ここは制度上の計算だけを示しています。

年収別の上限額

年収貸金業者からの借入合計の上限
180万円60万円
240万円80万円
300万円100万円
360万円120万円
450万円150万円
600万円200万円

計算に入る「年収」と入らない収入

年収に含まれる年収に含まれない
給与/年金・恩給/定期的に受け取る不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く)/安定的と認められる事業所得宝くじの当選金のような一時的な収入

出典:日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」

総量規制の対象になるもの・ならないもの

借入の種類総量規制の残高に入るか
消費者金融のカードローン・キャッシング入る
クレジットカードのキャッシング枠での借入入る
クレジットカードのショッピング入らない(貸金業法の規制の対象外)
銀行カードローン入らない(銀行は貸金業者ではないため)
法人向けの貸付け入らない

出典:金融庁「貸金業法Q&A」

銀行カードローンは総量規制の外ですが、審査がないわけではありません。全国銀行協会は2017年3月、銀行による消費者向け貸付けについて、審査態勢の整備を徹底する申し合わせを公表しています。「銀行なら件数も合計額も見られない」という見方は、制度の作りからは成り立ちません。

件数が増えると、収入証明書の線にも届きやすい

合計額は、収入証明書の提出義務にも関係します。

次のどちらかに当てはまると収入証明書の提出が必要
1社からの借入が、既存の残高と合わせて50万円を超える源泉徴収票、給与明細(直近2か月分以上)、確定申告書など
他社分も合わせた合計が100万円を超える

出典:日本貸金業協会「収入を証明する書類とは」

1社ごとの金額が小さくても、他社分を合算して100万円を超えれば提出が必要です。件数を増やして1社あたりを小さくしても、この判定は避けられない作りになっています。

年収の3分の1を超えている場合

金融庁のQ&Aでは、年収の3分の1を超える借入がある場合でも、新規の借入ができなくなるだけで、直ちに3分の1まで返すよう求められるわけではないとしています。契約どおりの返済を続けることが前提です。

総量規制の「除外」と「例外」は、残高に数えるかどうかで分かれる

総量規制には、年収の3分の1を超えても借りられる契約があります。法令上は2種類あり、違いは借入残高に算入されるかどうかです。

除外貸付け(残高に算入されない)

No.契約の種類
1不動産購入のための貸付け(いわゆる住宅ローン)
2自動車購入時の自動車担保貸付け(いわゆる自動車ローン)
3高額療養費の貸付け
4有価証券を担保とする貸付け
5不動産(個人顧客または担保提供者の居宅などを除く)を担保とする貸付け
6売却予定不動産の売却代金により返済される貸付け

例外貸付け(残高に算入される)

No.契約の種類主な要件
1顧客に一方的に有利となる借換え下の5条件を満たすもの(いわゆるおまとめローン)
2借入残高を段階的に減少させるための借換え―
3緊急に必要と認められる医療費の貸付け顧客やその親族などの医療費
4社会通念上緊急に必要と認められる費用の貸付け10万円以下、3か月以内の返済など
5配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け配偶者の同意が必要
6個人事業者に対する貸付け事業計画・収支計画・資金計画で返済能力を超えないと認められる場合
7新たに事業を営む個人事業者に対する貸付け6と同様
8預金取扱金融機関から貸付けを受けるまでのつなぎ資金貸付けが確実で、1か月以内の返済

出典:日本貸金業協会「総量規制が適用されない場合について」。除外は貸金業法施行規則第10条の21、例外は第10条の23に定めがあります。

ここは押さえておいてください。例外貸付けは残高に算入されます。例外貸付けで年収の3分の1を超えた後は、除外・例外にあたる契約を除いて、新たな借入はできなくなります。

おまとめローンが「例外」になる5つの条件

No.条件(日本貸金業協会による概要)
1借換えの対象は貸金業者からの借入債務。銀行や親族・知人からの借入は対象外
2借換え後の金利が、借換え前の金利を上回らない
3約定どおりの返済で、残高を段階的に減らしていく返済方法である
41か月の負担額が、借換え前を上回らない
5担保・保証の条件が、借換え前より厳しくならない

件数の問題を、件数そのものを減らす方向で解決するための制度がこれです。総量規制の作りの中に、借入をまとめる道が最初から用意されている、という見方もできます。

件数が増えたときの出口を、制度ごとに比べる

件数が3件、4件と増えてきた場合、次の申込みを重ねるより先に検討できる道が3つあります。

出口総量規制との関係件数への効果向いている状況
貸金業者のおまとめローン例外貸付け。年収の3分の1を超えても利用できる場合がある複数の借入を1本にまとめる返済は続けられるが、件数と金利を整理したい
銀行のカードローン・おまとめ目的ローンへの借り換え総量規制の対象外まとめ方は商品による収入が安定していて、金利を下げたい
債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)―返済額そのものを見直す毎月の返済が収入を圧迫し、借りて返す状態になっている

状況別に、どこから考えるか

いまの状況最初に検討すること
延滞はなく、合計額が年収の3分の1未満新規の申込みより、まず完済済みカードの整理と、金利の高い借入からの返済
延滞はないが、件数が多く返済日がばらばらおまとめローン・借り換え
合計額が年収の3分の1に近い、または超えている新規の借入はできない前提で、おまとめ(例外貸付け)か返済計画の見直し
返済のために別の会社から借りている債務整理を含めて、公的な相談窓口へ

申込みを重ねる前に知っておきたい記録の残り方

申込みの情報は、照会日から6か月残ります。短い期間に複数社へ申し込むと、その記録が並んだ状態で次の会社が照会することになります。件数を増やす前に、総量規制の残りの枠と、自分の契約状況を確認するほうが先です。

自分の信用情報は、CIC・JICCともに本人が開示を請求できます。何社と契約中になっているかは、推測するより開示で確かめるのが早道です。

債務整理を選んだ場合の記録

債務整理を選んだ場合も、その事実は信用情報に登録されます。たとえばCICでは、破産について免責許可決定が確認できたことが登録された報告日から5年間が保有期間とされています。一定期間は新たな借入が難しくなりますが、返済が回らない状態を続けるより、生活を立て直す道として検討する価値はあります。

借入件数が多く、返済のための借入が続いているなら、ひとりで判断せず次の窓口に相談してください。

よくある質問

Q. 3社から借りていると、4社目は審査に通りませんか?

A. 件数だけで決まるという公式な基準はありません。法律上の線は「貸金業者からの借入合計が年収の3分の1以内か」です。ただし、件数や申込みの記録は信用情報で各社に見えており、それをどう評価するかは各社の判断で、公表されていません。

Q. 完済したカードローンは件数に入りますか?

A. 解約していなければ、信用情報の上では契約中のままです。CICの基準では、カードの場合「残高がなく解約したもの」が契約の「完了」になります。使う予定がないなら、解約するかどうかを検討する材料になります。

Q. 銀行カードローンは件数に数えられますか?

A. 総量規制の計算には入りません(銀行は貸金業者ではないため)。一方で、銀行も審査態勢の整備を申し合わせており、借入が多いことが審査で考慮されないとは言えません。

Q. クレジットカードは関係ありますか?

A. キャッシング枠での借入は総量規制の対象です。ショッピングは貸金業法の規制の対象外なので、総量規制の残高には入りません。

Q. 年収の3分の1を超えていたら、すぐ返さないといけませんか?

A. 金融庁のQ&Aでは、新規の借入ができなくなるだけで、直ちに3分の1まで返済を求められるわけではないとしています。契約どおりの返済を続けることが前提です。

Q. 専業主婦(主夫)で自分の収入がない場合は?

A. 総量規制の例外に「配偶者貸付け」があります。配偶者の同意書、収入を証明する書類、夫婦関係を証明する公的書類などを出し、夫婦の年収を合算した3分の1まで借りられる制度です。合算した枠を夫婦で共有するため、一方が借りるともう一方の枠が減ります。取り扱うかどうかは各社で異なります。

この記事の要点

論点制度の作り
件数の上限法律にはない。各社の基準も公表されていない
法律の線貸金業者からの借入合計が年収の3分の1まで
件数の伝わり方指定信用情報機関(CIC・JICC)を通じて、契約・残高・申込みが照会される
完済と件数カードローンは解約しない限り契約中のまま
記録の期間申込みは6か月、契約は終了後5年以内
件数を減らす制度おまとめローン(例外貸付け)、銀行の借り換え、債務整理

困ったときの公的な相談窓口

窓口相談できること連絡先
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター借入・返済の相談、貸金業者とのトラブル0570-051-051(平日9:00〜17:00)
法テラス(日本司法支援センター)債務整理などの法的な相談、弁護士・司法書士の紹介0570-078374(平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00)
お住まいの自治体の消費生活センター契約や多重債務の相談消費者ホットライン 188

借入件数が増えてきたときに、新しい借入先を探す前に相談先を一つ持っておくと、判断の材料が増えます。SNSや掲示板で「件数が多くても貸す」と持ちかけてくる個人間融資や、登録のない業者には応じないでください。

ソフト闇金レイワ

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※本記事は2026年10月時点の法令、日本貸金業協会・金融庁の公表資料、CIC・JICCの公表情報をもとに作成しています。個別の審査結果を保証するものではありません。審査基準は各社で異なり、公表されていません。最新の情報は各機関・各社の公式サイトでご確認ください。